純愛デビュー
息を切らしながら
葉月に駆け寄った彼とは真逆に
拓真は清清しく教室に入ってきた
「葉月遅くなってゴメンな、帰ろ」
「うん2人ともいてくれたし大丈夫!ゆりとカンナありがとまたね」
「まったね~」
あたしとゆりは肩を並べ
いかにも美男美女って感じでお似合いの2人を見送る
「拓真...どうしたの?」
「いや、カンナと帰ろうと思って」
「でも...」
ゆりいるし...
そう言おうとしたあたしの声を遮るように
「理恵~一緒に帰っていい~?」
と窓辺で話す女子に駆け寄っていった
「ゆり...」
「あたし理恵たちと帰るし!2人で帰んなよ」
「うん...ありがと」
「じゃあ行くか」
「うん」
先に教室をでた拓真を追いかけるように
廊下に出る前に
"理恵"と呼ばれた
窓辺で昼休みあたしを睨んでいたような
女子をチラッとみると
バチっと視線が絡み合って
ニヤニヤあたしを見送るゆりの後ろで
彼女はあたしをキツく冷たい目で見ていた