純愛デビュー


息を切らしながら

葉月に駆け寄った彼とは真逆に


拓真は清清しく教室に入ってきた


「葉月遅くなってゴメンな、帰ろ」

「うん2人ともいてくれたし大丈夫!ゆりとカンナありがとまたね」

「まったね~」



あたしとゆりは肩を並べ

いかにも美男美女って感じでお似合いの2人を見送る


「拓真...どうしたの?」

「いや、カンナと帰ろうと思って」

「でも...」



ゆりいるし...


そう言おうとしたあたしの声を遮るように


「理恵~一緒に帰っていい~?」



と窓辺で話す女子に駆け寄っていった


「ゆり...」

「あたし理恵たちと帰るし!2人で帰んなよ」


「うん...ありがと」

「じゃあ行くか」

「うん」


先に教室をでた拓真を追いかけるように

廊下に出る前に


"理恵"と呼ばれた


窓辺で昼休みあたしを睨んでいたような


女子をチラッとみると


バチっと視線が絡み合って


ニヤニヤあたしを見送るゆりの後ろで


彼女はあたしをキツく冷たい目で見ていた


< 24 / 42 >

この作品をシェア

pagetop