純愛デビュー
「元気なくね?」
拓真と細長い田舎道を歩く
「ううん」
楽しいはずなのに
さっきの女子が気になって
あたしはつい黙ってしまう
「俺に嘘つくなよ」
そういうと拓真は立ち止まって
あたしの腕を掴んだ
「拓真...?」
とても真剣にあたしを見ながら。
「なんでも聞くから言えよ」
その真剣な目にうそはつけなくて
あたしは歩き出しながら事情を話した
「そっか....その女、誰か分かる?」
「えっと多分...理恵とか言ってたような」
するとあからさまに大きなため息をついて
面倒くさそうに頭をかいた拓真
「そいつ、俺の元カノ」
「えっ」
....拓真の、元カノ?
「元カノっつっても1ヶ月くらいですぐ別れた」
「なんで?」
「アイツ、1つ上のキャプテンに近づくために俺利用してさ」
「...ひどい」
平然と話すけど
きっと辛かったよね...
「俺本気で好きになりかけてて、なのにそうだって分かってさ。俺が別れ切り出したら『ごめん別れたくない』って意味わかんねーこと言うの」
「....」
「でも俺が無理やり別れたら...こうだもんな。なんにも関係ねぇカンナにまで」
「いや...あたしは何にもされていないし大丈夫だよ?」
「ううん、俺が嫌なんだ」
「拓真...」
少し歩くとあたしの家の前まできて
「なんかされたらすぐ言えよ」
って何度も念押しする拓真が
とても頼もしく見えた