純愛デビュー


彼は片手であたしを支えて


もう片方の手で地面に落ちたかみそりを拾うと


ぐっと理恵ちゃんの目の前まで近づけた



少し長い前髪からのぞく大きな瞳は


真剣そのもので思わず理恵ちゃんでさえ



しり込みしている




「コイツが羨ましいからってこんなことして卑怯じゃね?」


「だって...!」

「誰を好きなのか知らないけど、そいつが誰を選ぶかなんてお前の決めることじゃない。何も知らない転校生いきなりいじめるとか子供かよ」


「うるさい!!!!!」


言い返せなくなった理恵ちゃんは2人を連れて


走っていなくなった





すると速水くんはゆっくりあたしから手を離した


「ありがとう...」


目に浮かぶ涙をぐっと拭って


ぼやける視界に速水くんを映すと


さっきとは違う優しい目であたしをみていた


「足、痛くねぇの?」


指を指されて足元に目をやると


多分突き飛ばされたときに怪我したであろう



擦り傷が出来ていた


「これくらい...平気」

「けど消毒したほうがいい」


すると目の前にいきなりしゃがみこむ速水君


< 28 / 42 >

この作品をシェア

pagetop