純愛デビュー
彼は片手であたしを支えて
もう片方の手で地面に落ちたかみそりを拾うと
ぐっと理恵ちゃんの目の前まで近づけた
少し長い前髪からのぞく大きな瞳は
真剣そのもので思わず理恵ちゃんでさえ
しり込みしている
「コイツが羨ましいからってこんなことして卑怯じゃね?」
「だって...!」
「誰を好きなのか知らないけど、そいつが誰を選ぶかなんてお前の決めることじゃない。何も知らない転校生いきなりいじめるとか子供かよ」
「うるさい!!!!!」
言い返せなくなった理恵ちゃんは2人を連れて
走っていなくなった
すると速水くんはゆっくりあたしから手を離した
「ありがとう...」
目に浮かぶ涙をぐっと拭って
ぼやける視界に速水くんを映すと
さっきとは違う優しい目であたしをみていた
「足、痛くねぇの?」
指を指されて足元に目をやると
多分突き飛ばされたときに怪我したであろう
擦り傷が出来ていた
「これくらい...平気」
「けど消毒したほうがいい」
すると目の前にいきなりしゃがみこむ速水君