純愛デビュー


「えっ...」


思わず首をかしげると


「乗れよ」



とちらっと振り返る


「えっ...いやいや!そんな大げさ...」

「いいから」

「わ、悪いし大丈夫だよほんと」



するとハァと大きなため息をついて


一度立ち上がると速水君はあたしをまっすぐみた




...背高い.....

思わず見上げてしまう高さ。



「大人しく乗れよ」

「えっちょっと」



すると油断したすきに


ぐいっと腕を引っ張られ


体が宙に浮いたかと思えば


なんとお姫様抱っこをされた


「えっいや...これならおんぶのほうが...」



誰もいない倉庫裏とはいえ


このまま校舎に入り保健室に行くまでに


誰かかしらには会ってしまう...


すると抱えられたせいですぐ近くにある


その綺麗な顔はあたしを



至近距離で捕らえると


「フッ」とため息交じりで笑って


大きなタレ目を少し細めた



「すぐ言うこと聞かなかった罰」


あたしの好きな低い声

あたしをドキドキさせる声は



そう一言つぶやいた




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