純愛デビュー
「なら早瀬君のことが好きだから断ったんじゃないの?」
「それはちがうよ」
「ふ~ん、まぁいいけど?」
なんとか諦めてくれたと思ったけど
帰り際にやっぱり「早瀬君に誘われるの待つのみ」
なんて楽しそうにゆりが言うから
あたしは葉月と目を合わせて笑った
「おはよう」
「あぁ」
相変わらず隣の席なのに
朝の挨拶と
帰りの「またね」
くらいしか会話を交わさない関係の
あたしと速水くん。
だけど授業中に外を眺めてる横顔とか
気持ちよさそうに寝ている寝顔とか
あたしは密かにドキドキして
どんどん気持ちが大きくなっていた。
「あの...さぁ」
今日もいつもと同じく席に着く
けど、何を思ったのか
ぼーっとする速水君に気がつけば話しかけていたあたし
「何?」
....えっと
どうしよう...話題、話題...
「あっ...な!夏祭り!」
「ん?」
「夏祭り...い、行くの?」
って...なにこのわざとらしい質問
はぁ...もうバカバカ。
「んーわかんねぇ」
しかも困らせちゃったし...