純愛デビュー


翌日の日曜日、あたしはおばあちゃんに言われたとおり

学校まで行こうと早く起きてカーテンを開ける


「あら、もう行くのかい。おばあちゃんも行くか?」


着替えて居間に行くと縁側でスイカを食べている


おばあちゃんがあたしを見て眉毛を下げた


「大丈夫よ、あたし1人で行けるから」

「そうか、気をつけなさい」

「行ってきます」




この大自然溢れる田舎には不似合いな

真っ白いワンピースに

少しヒールのあるミュール

小さなハンドバッグを持って家を出た。



一流ブランドの服や靴しか

持っていないのは

お父さんが少しでも洗練された女性になりなさいって

言う一種の教育方針らしいけど、

きっと自分の娘にふさわしくしたいだけだと思う



けど良いんだ


ここなら何を着ても言われない気がする

前の学校は近くにブランドショップがたくさんある環境、

周りがそういうものに敏感で


着たくて着ているわけじゃないなんて言い訳は

もちろん通用しなかったから。




外に出ると夏休み目前の7月を感じさせられる暑さに

思わず目を細めて、日傘を差して歩き出す






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