溺壊
今思えば、世界から見放された僕が、してはいけない最大の禁忌。
禁忌にして、最高の幸福。
勇気なんて、心の準備なんて、必要としない。
衝動的に、君を、僕に、向けさせる。
振り向いた君は、訝しげに眉を寄せる。
それすら、神々しいのは何故だ。
ふと、君が気づいたように目を見開いた。
唇から放たれる言葉は、小さくて、弱々しかった。
初めて聞いた、君のオト。
小鳥が囀ずっている?
天使の産声?
そんな言葉じゃ表せないな。