溺壊





その男の人は。











少し驚いた顔をした。











やや間があって、私に、笑いかけてくれた。












嗚呼…










なんて、美しい微笑みなのだろう。






















違う。














美しいなんかじゃ足りない。














妖艶?









美麗?














足りない。足りない、足りない。















そんな言葉じゃ、足りない。















どういう、言葉で表せばいいのか…














そんなことはどうでもいい。
























彼の微笑みは、確かに私を掬い上げてくれたから。













< 9 / 22 >

この作品をシェア

pagetop