短編集
いつもの乗り場。

いつもの時間。

いつもの顔触れ。


それを確認しながら、電車がくるのを待つ。


プシューッ…



この時間の、この駅からでは、かろうじて空席もあるが、私は立っているのが好きだ。


私のお気に入りの場所…つまり定位置は、となりの車両との繋ぎがあるドアの部分。


みんながみんなの定位置を知っているから、それを崩すようなことはしない。


どこもそんな雰囲気があるはずだ。


私は定位置に着くと、かばんから単行本を取り出した。
< 2 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop