続・エレベーター
その温もりに、美香に抱きしめられている錯覚を感じながら、わたしは泣いた。


ひとしきり泣いて、気持ちが落ち着いて来るのを感じ、わたしは言った。


『…美香に、お線香あげさせてください。』


美香のお母さんは指で自分の涙を拭うと、嬉しそうに何度も頷いた。


『階段で7階まで上がることになるけど…。』


続けて美香のお母さんは言った。


『今日もこのエレベーター調子悪いみたいで…。最近、多いのよ。』





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