ヒスイ巫女3
「今から罪人、蛍の処刑を始める。」
ここは楼宮の中のコロッセオ国民がヒスイの婚約者を殺した犯人の最期を見届けようとしてここに来ていた。
「罪人、蛍は次期巫女であるヒスイ様の婚約者を殺した。この罪は万死に値する。」
スラスラと何も感情なく端的に伝えていく。
「ヒスイ様前へ」
ヒスイは何も聞いていなかった。だから何をしていいのか分からなかった。
「ヒスイ!早く罪人の前へ立て」
巫女様の怒鳴り声でヒスイはやっと前に出た。
「処刑は次期巫女であるヒスイ様に行ってもらうー「そうなの嫌です!」
「異論は認めん」
巫女様の声がひびいた。
「琉依、ヒスイに儀礼用の剣を。」
琉依と呼ばれる青年はヒスイに剣を渡した。
剣はヒスイの腕に重くのしかかった。
「イヤ、イヤ」
ヒスイは首をふった。
「ヒスイ・・・早くやれ」
「蛍?何言ってるの?」
「いいから早くやれ」
「嫌だよそんなの」
「お前は兄貴を大切な人に選んだんだろ。俺を選ばなかっただろ。」
「確かにそうだよ。でも蛍も大切な人だよ。」
「兄貴を選んだ人間が何を言ってる。ー「大切な人が1人だなんてルール私は知らない。」
ヒスイは落ち着いた口調で言った。蛍はフッと笑った。
「蛍は蒼の事を殺してないよね?」
ヒスイは不安そうに聞いた。
「いつまでそこで話している。」
巫女様の冷淡な声が聞こえた。
「ヒスイ、お前が殺らないのなら琉依にやってもらう。」
琉依はヒスイから剣を取り蛍の後ろで構えた。
「蛍?ころしてないよね」
「ヒスイ・・・俺は・・・兄貴を殺した。」
ヒスイは固まった。
その事実が受け止めれなかったからである。
「罪人の刑執行しろ」
その言葉と共に剣が降ろされた。
剣の首が飛びあたり一面が血だらけになった。
国民は悲鳴をあげた。
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