アイザワさんとアイザワさん

黙りこんだ私を見て、何を思ったのか……相澤が言葉を続けた。

「これからも現実から逃げて『心の恋人』がいればそれでいいのか?」

「適当に『恋』をしたふりをしてれば傷つくこともないよな……だけどさ、相沢?お前を好きになるんじゃなくて、興味を持つヤツが現れたらどうするんだ?」


じゃあ、あなたは私のことをどう思ってるの?そう聞こうとしたけど、なぜかその言葉は口にすることができなかった。


「好きになったって言って来たヤツは断って切ればいい。だけど、興味を持って来たヤツは……どんどん近づいて来るだろ?」


そう言いながらベッドへと上り、言葉通りに相澤が近づいて来た。ギシッ、とべッドが嫌な音を立てて軋む。


私はこの瞬間まで油断をしていた。
相澤はキスはしてきても、それ以上を求めて来ることはないと。


……そんな訳がなかった。そう思った時にはもう遅かった。


思わず後ずさろうとして……身体が壁に当たって、それ以上逃げることができなくなった。



「相澤……店長……」声が掠れていく。酷く喉が渇いていた。

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