アイザワさんとアイザワさん

「俺は、お前に興味があるって言ったよな?」


『興味』……その言葉を聞いて、身体がすっと冷えていくような気がした。私のことを『好き』になってくれたんじゃなくて、ただ『興味』があるだけだったの?



『興味』だけで近づかれるのは嫌だ、と思った。


「私は……私に近づくのは……」


最後まで口には出来なかった。
否定の言葉を紡ぐはずの口は、彼の口唇でぴったりと塞がれてしまったのだ。


「やめ…っ…んっ、」


『やめて』とも言えずに、不意討ちでされた深いキスに、私の思考は真っ白に染まっていった。


……私は自分の気持ちも、あなたの気持ちも分からない。


好きじゃないなら、私を……私の中を暴かないで……。
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