アイザワさんとアイザワさん
相沢 初花に会ったのはそんな自分に押し潰されそうになっていた時だった。
最初はおばあちゃんのことが心配でデイサービスにまで出入りするなんて、心配性でおかしなヤツだと思っていた。
だけど、だんだんと家庭の事情を知るうちに、その健気さと純粋さに心を動かされた。
その一生懸命な姿が眩しかった。
俺は、何に対しても一生懸命になったことなんて無かったから。
源次さんは、そんな一生懸命で、ふとしたことで折れてしまいそうな彼女のことをいつも心配していた。
俺が憧れを抱いて彼女を見つめていたことにも気がついていたんだろう。
「初ちゃんは、翠ちゃんの向日葵なんだ。でも、初ちゃんにとって翠ちゃんは太陽なんだよ。太陽が無かったら向日葵は枯れちまう。翠ちゃんと……初ちゃんのこと、よろしく頼むよ。」
そう言ってくれたんだ。親父じゃなく、瞬でもなく、俺だけに。
だけど、君には恋人がいた。ちゃんと支えてくれる人がいた。
30歳近くになって、こんな初恋みたいな想いに苦しむなんておかしな話だ。
そう思っても想いを伝えるどころか、君を見つめることしかできなかった。
表面だけ繕って人と深く関わってこなかった。……これは、罰だ。