アイザワさんとアイザワさん
翠さんだけでなく、俺にとっても君は向日葵のような人だ。
いつも明るく咲き誇り、背筋をまっすぐ伸ばして生きている。
だけど、俺は太陽じゃなかった。
俺は臆病だ。君に真っ直ぐに想いを伝えることすらできない。
昔も、今も。
俺が好きになった君は昔の君だと思っていた。
どこまでも真っ直ぐで、夢を持っている君。
こんな、全てを諦めて、死んだような目をしている君じゃない、そう思ってた。
……思いこもうとしていた。
だけど、7月のあの日、キスをしてくれたんだと分かった時には嬉しくて……それからは自分の気持ちを押さえられなくなってしまった。
彼女が翠さんを亡くした時のショックな気持ちを忘れるために心に箱を作って、それから記憶が曖昧になったことは親父から聞いていた。
以前の彼女を知っている俺と関わることが、俺の感情を押し付けてしまうことが、その蓋を開けることになってしまうかもしれない。
生方さんと親父から事情を聞いていた叔父さんから何度も相沢に近づくな、と釘を刺されたけど、どうしても止められなかった。
……俺は、最低な男だ。