アイザワさんとアイザワさん
今日だって茜さんは隣にいて一緒に申し送りを受けながら、私達のことを心配そうに見ている。
相澤が早々に帰って行くと、茜さんはもう我慢が出来ない、というように私に詰めよってきた。
「ちょっと初花ちゃん!どうなってるのよ、あなたたちは!」
仕事がやりにくいのよ!と彼女はご立腹だった。
「店長にも聞いたのよ。そしたら『どうもしないですよ。元々何もなかったんですから』ですって!何もなかったらこんなおかしい空気になってないでしょ!!」
私は茜さんの話を聞きながら、相澤がそう話したことにショックを受けていた。
少なくとも『何もなかった』関係じゃないのに……。
「……もう、私に『興味』が無くなったみたいですよ。さ、仕事しましょう。」
私はそれだけ言うと、まだ何か言いたそうにしている茜さんに背を向けて仕事に入った。
だってこんな、店の中で……レジの所で気軽に話せる話題じゃない。
もう、誰も触れないで欲しい。
そう思っていても私達の様子はとても不自然に見えるらしく、スタッフだけでなく、常連のお客さんにまで私は心配されていた。