アイザワさんとアイザワさん
「新しく来る店長さんもイケメンだといいっすねー。」
そんな言葉を残して、可愛いワンコ男子はカフェ行きの荷馬車へ乗っていった。
「初花ちゃん。私、初花ちゃんがいるから残るって決めたのよ。頑張ろうね。」
茜さんが言った。私たちは、今から運命を共にする。
「茜さんと一緒なら売られても怖くないですかねぇ……」
「何、それ?」
「あぁ、『ドナドナ』みたいだなぁ、って思って。」
「確かに。あれって子牛が売られる歌よねぇ。牛は……何用なのかしら?」
……そんな怖いこと、思いもしなかった。
私、いや、私達は牝牛だから、乳出すくらいは役に立ちます。……いや、ほんとには出さないけど。それくらいの覚悟でってことで。
せめてさばかれることなく新店舗でのびのび暮らしたいと思う。
明日は新しいオーナーと、店長との初めての顔合わせだ。
……イケメン、来いっ!!