アイザワさんとアイザワさん
シフトが終わり、私は茂之お父さんから貰ったのと、自分で予約した分のボジョレーを抱えておばあちゃんの所に向かった。
コンビニに源ちゃんが迎えに来てくれた。
「おっ、今年は2本かい?奮発したねぇ。」
そう言う源ちゃんに「茂之お父さんから貰ったんだよ。源ちゃんも飲む?」と声をかけてみたけど、「悪い、初ちゃん、最近血圧が高くて禁酒中なんだよ。」と言われてしまった。
やっぱり、今年は一人ボジョレーらしい。
「……源ちゃん、最近ずっと血圧高めって言ってなかったっけ?100まで生きるんでしょ?気をつけないと。」
気のせいか、あまり顔色もよくないような気がした。
「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫だよ。さ、翠ちゃんのとこに行くか。」
私達はおばあちゃんのお墓へと向かった。
***
今日は、気持ちのいいくらい晴れた日だった。
お水を汲んで、お墓をお掃除して、お花を供える。
そしてボジョレーを置いてお線香に火を灯した。
お盆、正月と彼岸の日以外に私がおばあちゃんの所に来るのはこの日だけだ。
おばあちゃんの命日は来月だけど、私は命日にはお墓に来ることは無かった。
……来ることが出来ないのだ。どうしても。