アイザワさんとアイザワさん
4年前の12月の記憶〈初花〉
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4年前の12月。
クリスマスを前に、私は浮き足立っていた。
「今年のクリスマスは一緒にいようよ、ね。」
大好きな大好きな馨さんからの甘い誘い。
私も今年はどうしても二人でいたかった。
……だって、クリスマスは私の20歳の誕生日だから。イブから一緒にいて、その瞬間は二人で迎えたい。
おばあちゃんが発病してから、『自分の時間』が一切なかった私は、この時初めて両親に嘘をついた。
……大好きな彼と一緒に過ごしたい。
普通に彼氏がいる女の子なら誰でも考えるような、小さな我が儘だった。
24日の日中は、デイサービスのクリスマス会で私もボランティアで参加していた。
源ちゃんもシャンメリーを片手に颯爽と登場し、会を盛り上げてくれた。
普段医院のほうにいる看護師さんや大先生、若先生、レオ先生も顔を出していた。
みんな笑顔だった。
おばあちゃんも楽しくてたまらない、といった様子で、ずっと笑っていた。
……あぁ、おばあちゃん、楽しそうだなぁ。
私はおばあちゃんのそんな様子を眺めながら、嬉しい気持ちでいっぱいだった。
デイサービスに通うようになってからは特におばあちゃんの心は穏やかだし、落ちついてきている。ほんとに良かった。
……そう思っていたのだ。この時の私は。
そう信じて疑っていなかった。