アイザワさんとアイザワさん
デイサービスの送迎を見送ると、私は馨さんを迎えにコンビニへと向かった。
今日は『母親』がおばあちゃんを迎えてくれることになっていた。
「あ、初花ちゃん!」コンビニでは鞠枝さんも待っていて、「1日早いけど、誕生日おめでとう。」とプレゼントを渡してくれた。
そして「後は、二人でごゆっくり、ねー。」と言われて、私は首まで真っ赤になった。
今日私は『鞠枝さんに誘われて生方家に泊まることに』なっている。親にはそう言っていた。
私は長い間、この日を……これからの出来事を忘れようとしていた。
覚えていたのは『おばあちゃんが死んだ』事実だけで、所々記憶は抜け落ちていた。
全て思い出した今は、この日のことを思い出すだけで、胸が痛む。
おばあちゃんは、この日の夜ベッドから抜け出して……いなくなってしまったのだ。
こんな事は今まで一度もなかったし、予想もしていなかった。おばあちゃんは穏やかでとても安定しているように見えたから。
大先生には、通院した時にいつも言われていた。「この病気は、進行を遅らせることはできても回復はしないからね。急に進行することもあるから。」私は分かってますと言っていたけど、その言葉をちゃんとは理解していなかったのだ。
でも、初花ちゃんがそばにいてくれたらおばあちゃんは安心だね、とも言われてたのに。