アイザワさんとアイザワさん

結局おばあちゃんは、次の日の昼過ぎに見つかった。

……でも、もう遅かったのだ。


私は自分を責め続けた。


誕生日に馨さんと一緒にいたいと思わなければ


着信に気がついていれば


私も一緒に探しに行っていれば……


……おばあちゃんは死なずにすんだの?


私のついた嘘は両親にばれてしまっていた。そんな私をお母さんはおばあちゃんがいなくなったのは、初花を探しに行ったからだ。そう言って「人殺し」だと責め続けた。


何度も何度も責められて、私の心は軋んで歪んでいった。


お葬式の時は、側に居させてもらえなかった。
いつも一緒にいたのに、最後に側で見送ることもできなかった。


そんな母のことを父親はだまって見ていた。
止めてもくれなかった。


そして、全て終わって父親が単身赴任先に戻ると、母は私と家に二人きりでいることに耐えられなくなった。


……『人殺し』の私は、家を追い出された。


今なら『母親』を失ったその気持ちも分かるし、母も精神的におかしくなっていたのだ、ということも理解はできる。


……私だけが悪いはずじゃなかったことにも気がついたはずだ。


でもその時、私も『母親』もどちらもその状況を受け止めることができなかった。
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