アイザワさんとアイザワさん
「初花ちゃん、あなたがこれから先どんな人生を生きても、誰と一緒になっても、私達はずっと『家族』だからね。あなたは私の娘になったの。……娘になるのよ。忘れないでね。」
私はその言葉を聞いて、声を上げて泣いた。
まるで産まれたての子供のように。
私は、こうしてもう一度生まれた。
生方さんたちと、源ちゃんが私の『心の家族』になった。
しばらくして、私はコンビニの近くにアパートを借りた。
全て生方さんが手配してくれた。
私は、生方さんの好意に甘えながら、それから3年間をコンビニで社員として働きながら過ごした。
夢も、希望もなく、ただ毎日が過ぎていく。
……まるで、ぬるま湯のような日々だった。
それが、『死んだような目をした私』だ。
介護士になっておばあちゃんのそばにいたい。
そんな夢にあふれた未来を描いていた『ほんとうの自分』はもうそこにはいなかった。
だって、おばあちゃんはもういないんだから。
こんな……残酷なことはない。
『恋』に溺れた私は大切な人たちを傷つけた。
だから、もう、恋はしなくていい。
これが、私の4年前の記憶の全てだった。