アイザワさんとアイザワさん

端正な顔立ち。髪はすっきりと短く切り揃えられ清潔感がある。目は少し細め、というか切れ長だけど、彼のかけているノンフレームの眼鏡と雰囲気がよく合っていた。


ぅああああぁぁぁ……ひざまずきたいっ!!!


すぐさま沸き出た衝動を押さえるのに必死になった。


「相澤 樹(あいざわ いつき)です。よろしくお願いします。」そうイケメンは名乗った。


挨拶の声を聞いた時から、その声は目立っていた。ちょっと低くて、耳に心地よく響く。何故か懐かしさを感じさせる……穏やかな声。


声までイケメンなんて完璧すぎる……ってか、この人の側で、私まともな精神状態で働けるのかな……


「はじめまして。」と茜さんが挨拶したのを聞いて、はっ!と我にかえる。

「は、はっじめまして!!」
慌てて私もどもりながらも挨拶をする。

イケメンはそんな私の様子を見て、一気に表情を曇らせた。


……ん?私、何かした?


そう思ったのもつかの間、私のほうを見ながら「あんた、でかいね。何センチ?俺と一緒のシフトの時は、あんまり底の高いスニーカー履かないでくれよ。」


とイケメンはいきなり爆弾を投下してきた。

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