アイザワさんとアイザワさん
12月24日。
今日はデイサービスでクリスマス会がある日だ。
「お待ちかねの日だねぇ。樹。」
瞬がからかってくる。
どうしてこいつには、何もかもバレてしまっているんだろう。口にしたことなんてないのに。
瞬にも、源次さんにも俺の想いはバレてしまっているようだった。
「別に患者でも看護師でもないんだから、手を出しても怒られないって。」
ちょっと遊んだ時期があっただけで、親父は未だに俺のことを女にだらしのない奴だと思っている。きっと叔父さんにも伝わっているだろう。二人は飲み仲間だ。何故別れた妻の弟と仲良くできるんだ?……ほんと、謎だ。
俺はため息をついた。
「……出すわけないだろ。」
彼女には恋人がいるんだから。
親父と叔父さんに言ってやりたい。ほんとの俺は、こんな中学生みたいな恋に苦しむ奴だ。
「あ、そうだ。昨日母さんと裕美が来てたよ。1日早いけど、メリークリスマスだって。」
瞬はそう言って俺の前に小さな箱を置いた。
「何で受け取ったんだよ……」