アイザワさんとアイザワさん

「幹部候補生かぁ……」ちょっと頭に浮かんだ言葉がダダ漏れてしまったらしい。

「初花ちゃん!ちょっと!」と茜さんが私の腕をバシッ、と叩く。

「『幹部』って。ハハハ。やっぱり『その筋』に見えました?違うからね。」


私達の疑問は、この瞬間晴れた。……すっきり晴れた、という訳ではないけれど。


「相沢さん、やっぱりいいね。生方さんから聞いた通りの人だ。樹とは、お互い『足りない』所を補い合って、いいコンビになってくださいね。」

生方さんが、私のことをどう言ってたのかは分からないけど……

そうだ。こんなちっちゃい事でムッとしている場合じゃなかった。


細かいことを気にしない性格の私は、この時デカイ女だと言われたことはもう気にしていなかった。

まぁ……デカイのは事実だしね。


「よろしくお願いします。」


私達は、これから同士になるのだ。
固く握手を交わす。


握手をする瞬間、手が触れただけで心臓がドキドキと音を立てるくらいときめいてしまったけど、これに慣れるのはもうしばらく時間がかかりそうだった。
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