アイザワさんとアイザワさん

病室の前で恵梨ちゃんに会った。お花の水でも入れ換えるつもりだったのか、両手に花瓶を抱えていた。

「あっ、初花ちゃん!」


「恵梨ちゃん、手伝うよ。」そう言って花瓶を一つ受け取った。


「助かったー!正直、手がもうやばかったの。一個ずつ持てば良かった。」


恵梨ちゃんのちょっと雑な性格は、源ちゃん譲りだ。そして、そんな二人に私も似てしまった。


前にコンビニに来た源ちゃんとお友達に椅子を一気に抱えて持って行こうとしてひっくり返った時があったな……と思い出す。


あの時、相澤が立ち上がれない私に手を貸してくれたんだっけ。


それまで意地悪で嫌みっぽい人としか思っていなかったけど、笑顔を見て、ドキドキしたんだったな……


自分の気持ちを認めてしまえば、私はずっと前からあの人に惹かれていたんだ、ということが良く分かった。


「そう言えばさ、この前おじいちゃんに病院まで付き添ってくれたコンビニの店長さん、カッコ良かったね!初花ちゃんが後で病院来たときも一緒に来てたよね……彼氏なの?」と恵梨ちゃんが聞いてきた。


頭の中をのぞかれたようで、ドキリとする。
相澤のことを思い出した途端に恵梨ちゃんに話をされるなんて……私の頭の中は、透けて見えてしまっているのかな……
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