アイザワさんとアイザワさん
透けてるついでなら、口にしても構わないやと思った。
「彼氏じゃないよ。……でも好きな人だよ。」
そう口にしてしまったら、すとんと腑に落ちた気がした。
相澤は私に想いを告げて、もうそばにいるのも近づくのも止める、と言った。
だったら……今度は私が相澤に自分の想いをちゃんと話す番だ。そばにいて欲しいって言わなきゃ。
キャーと興奮している恵梨ちゃんに苦笑いしながら、私は病室へと足を踏み入れた。
源ちゃんはすっかり顔色も良くなって、元気を取り戻したように見えた。検査の結果が良ければ、年を越す前には退院できると恵梨ちゃんから聞いていた。
「よう、初ちゃん。」
いつものように陽気に手を上げて迎えてくれた源ちゃんの姿を見た途端に、安心して涙が目からこぼれ落ちていくのが分かった。
心の箱が開いてから、私はほんとうに泣き虫になってしまった。
源ちゃんはそんな私の頭をよしよし、と優しく撫でてくれた。
「心配かけてすまなかったな、初ちゃん。」
ほんとうだよ、と言う私に源ちゃんは続けてこう言った。
「樹ちゃんがずっと付いててくれたんだってな。対応が早くてよかったですね、ってお医者さんに言われたよ。」
対応が良かったから、回復も早かったそうだ。相澤が店にいる日でよかった……と安堵する。