アイザワさんとアイザワさん
そのまま、そいつはスタッフルームまでやって来た。
「あ、店長。お疲れさまです。」
「……九嶋、お前来るの早すぎないか?」
ひょっとして組み間違えてしまったのかとシフトを確認したけど、確かに九嶋のシフトは22時からだった。
「お前、22時からだぞ。」そう言ったのに、
「間違えてないです。」
九嶋はニヤリと笑って言った。
シフトを組んだ俺が違うって言ってるのに。
……訳が分からない。
戸惑っている俺に構うことなく、九嶋は鞄の中から封筒のようなものを取り出した。
そしてそれを「はい、どうぞ。」と差し出してきた。
どうやらこいつはこの状況を俺に説明するつもりは無さそうだ。それだけは理解できたので、とりあえずその封筒を受け取った。
封筒を開く。中には1枚のクリスマスカードが入っていた。
赤い台紙にクリスマスツリーの切り絵が貼ってあるシンプルなクリスマスカードは、昔デイサービスでクリスマス会の後に渡していたものによく似ていた。
……相沢が、これを?
カードを開くと彼女のものと分かる綺麗な字で、ある場所と『待っています。』とそれだけが書かれてあった。