アイザワさんとアイザワさん
「『渡すだけでいいよ』って言われたけど、分かりました?」
と九嶋が聞いてきた。
確かに誰からかは分かったけど、これだけじゃ何も分からない。
「じゃ、お疲れさまです。」
九嶋の言葉で俺はさらに混乱した。
「おい、俺は今日は夜勤までの『サポート』だぞ。何なんだ、さっきから。」
苛立つ俺を無視してさらに九嶋は言葉を続ける。
「店長。俺ってやればできる奴なんですよ。普段はやる気出してないだけで。」
「だから、今日は『サポート』は必要無いってことです。クリスマスだって6回目ですからね。何かあっても平気ですよ。いざとなったら『善ちゃん』に連絡取りますから。」
そう言って笑った。
……そうか。何もかも打ち合わせ済み、か。
手紙だけ渡されたら、俺が行かないと思ったんだろうか。
彼女は俺に何を言いたいんだろう。
分からなかったけれど、このカードに書かれている場所に行って会わなければいけない。それだけは分かった。
彼女とちゃんと話をするのは……今日が最後になるかもしれないから。