アイザワさんとアイザワさん

やっぱり私は考えが足りないなぁ……とちょっと反省する。

それなら、と相澤が喜びそうなことを話してみた。

「じゃあ『クリスマスイブ』っぽいことに付き合ってくださいよ。家に『Milky Way』のケーキがあるんです。一緒に食べましょう。」


「へぇ、よく買えたな。予約してたのか?」


『Milky Way』のクリスマスケーキは予約だけであっという間に完売してしまったらしい。
存在を知った時にはもう完売してしまっていたんだけど、私は常連特権を利用して小山さんに頼みこみ、特別に作ってもらっていた。


「何で予約しないと買えないって知ってるんですか?……通ってましたね?」


「ああ。行くたびに、あの子犬みたいなウェイターにからまれるから面倒だったけどな。」


「じゃあ、今度は二人で行きましょうか。」
私は、自然とそう口にしていた。


木村くんが「どういうことですかー!」なんて慌ててカフェスペースから飛び出して来る様子まで想像できちゃったけど、それだって開き直ってしまえばどうってことないもんね。


二人で一緒に出掛ける……そんな想像をしたらなんだか楽しくなってきて、さっきまでの変な緊張感はキレイに消えてしまっていた。
< 198 / 344 >

この作品をシェア

pagetop