アイザワさんとアイザワさん
帰り道で、私は相澤に言った。
「今日こそ『Milky Way』のケーキ、一緒に食べましょう。ね?」
昨日は部屋に入った瞬間にキスをされてしまったから、今日は部屋に入る前に言っておかないとと思ったのだ。
「もう、クリスマスケーキじゃなくて『誕生日ケーキ』に変わりましたけど。」
そう言った私に苦笑いしながら、
「分かった分かった。ちゃんとお祝いしような。」と優しく頭を撫でてくれた。
そしてふと思い出したように言った。
「でもさ、あれはお前だって悪いんだぞ。」
……何が?
「あんまり『何も考えてませんでした』って顔してたから、ちょっとからかう気持ちでキスしたらさ……『ほんとは期待してました』って顔になっただろ?その顔が可愛かったから……あの顔見た瞬間に、からかう気持ちなんてふっ飛んだんだよ。」
「俺、こんなに自分が理性のない人間だって知らなかった……」
……なんだか今、とっても恥ずかしいことを言われてる気がするんですけど。
「今日は『何も』しないよ。……いや、たぶん。……ケーキ食べるまでは。」
もう『たぶん』とか言っちゃってるし。
理性ぐだぐだでしょ。