アイザワさんとアイザワさん

1月。①あの男(ひと)がやって来ました。


1月4日。
1月は4日から仕事はじめという人が多い。年末年始は閑散とするこのアーケード街も、今日からはようやく普段の賑わいを取り戻していた。


私は、今年は一人で新しい年を迎えた。


いつもは源ちゃんの家にお邪魔をしていたけど、今年は源ちゃんも退院したばかりなので遠慮した。


鞠枝さんは「うちにおいでよ。……今年はおにいちゃん来ないから。」と言ってくれたけど、今年は仙道さんと玲くんがいる。ファミリーの中にお邪魔するのはちょっと気が引けた。


いつもの年末なら正月に帰って来られるのかと『母親』から留守電が入っているのに、今年は何も連絡がなかった。そのことで、いつもの電話は源ちゃんが『母親』に電話するように言ってくれていたんだなということを悟った。


相澤は夜勤だったので年末は一緒にはいられなかった。


茜さんは「こっそりスタッフルームとかにいて、一緒にいたらいいのにー。」なんて冗談で言ってたけど、付き合うことになった時点で二人で仕事とプライベートはちゃんと分けよう、と決めていた。


でも、一人でいても不思議と先月感じたような焦燥感に襲われることはなかった。


夜勤に入る前に相澤は電話をしてくれた。


「一緒に年を越せなくて悪いな。九嶋から休み希望が出てなきゃなぁ……。何か年越しイベントだって言ってたけど……ところであいつって何やってるんだろうな?」


年越しイベント……??
心当たりが無かった私は首を捻った。
相変わらず私生活は謎なオトコだと思う。

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