アイザワさんとアイザワさん
『愛情』よりも強い感情か……
強引でマイペースに見える瞬先生にも、相澤と同じように家族のことで抱えてしまった悩みや思いがあるのかもしれない。いつか瞬先生にも先生の全てを分かって包みこんでくれるような人が現れるといいな、と思った。
***
「さっき、瞬と何話してたんだ?」
デイサービスへの訪問を終えて病院を出てすぐに相澤が聞いてきた。
どうやら私達が話していたのを見て、気になっていたようだった。
「私が『店長』に嫉妬してたっていう話ですよ。 」
「……何だよ、それ?」
「店長が最初お店に来た時、仲が良かった常連さんとかみんな店長のほうに注目するから面白くなかったんですよ。実は。」
この人のせいで女子力も一旦落ちたんだから。
でも……
「でも、今は『店長』に注目する人達に嫉妬してます。今日だって、みんな私の存在なんて完全に無視ですもん……。」
容姿に惹き付けられるのはしょうがない。でも、最近はそれだけじゃなくて……
「だから、あんまり愛想よくしないでください……。『営業用』じゃない笑顔はお店では見せないでくださいね。」
「心を許した笑顔は私以外には見せないで欲しいんです。……私、我が儘だし、ちょっと嫉妬深いのかもしれないです。」