アイザワさんとアイザワさん
呆れられちゃうかな?そう思って相澤のほうを見ると、
「お前も……気を付けろよ。」
と言われた……何を気を付けるの?
「自覚が無さすぎるんだよ。自分がどれだけ関心を持たれてるか分かんないだろ?」
「今日だって俺の話なんて最初だけで、後は全部お前との事を聞かれてたんだよ。店でだって……いろんな人を惹き付けといて全く自覚が無いし。ほんと、心配だよ。……今だって、お前の家でこの話を聞いてたら、もう即押し倒してるって。」
だから、他のヤツにそんな顔すんなよ。
そう言った相澤の頬は少しだけ赤かった。
いつの間にか私の嫉妬の話は、相澤の話にすり変わっていた。
……何か、お互い同じ心配をしてたってことですか?
冗談だと思うけど、ちょっとだけ瞬先生に口説かれたのは内緒にしとこうと思った。
「なぁ……もう家に帰らないか?」
私の顔をのぞきこんで、相澤が誘うような声で聞いてきた。
並んで歩いている私達だけど、私のほうが少しだけ身長が高いから自然と上目遣いで話しかけられている感じになる。
いつもの態度とは違うその甘えたような表情に……ちょっとだけやられてしまった。
私、相当バカになっちゃってるなぁ……と苦笑いをしながらも、でも、そんなしあわせが自分のそばにあることが嬉しくてたまらない。
「じゃあ、帰りましょうか。」
『了解しました』と伝えるように、私から相澤の手を引き寄せると、そっと手を繋いでアパートまでの道を歩き出した。