アイザワさんとアイザワさん
寂しさと同時に、胸の奥にちょっとずつ黒い感情がたまっているのも感じていて……でもこんな感情は口に出しちゃいけない気がして、私は相澤にはいつも何も言えなかった。
「まぁ……でも、そんなにシフトは分けなくてもいいんじゃない?私達もお客様も気にしてないわよ。うちの店、人数少ないんだから二人に負担がかかるでしょ?」
茜さんはそんな私の寂しさを分かってくれているみたいだった。
それから、私に何か言いかけた茜さんがふと窓の外を見たかと思うと、あれ?と言った感じで、今度はしっかりと外のほうに目をやった。
窓に背を向けて座っている私には何に目を留めたのか分からず、どうしたのかな?と思っていると、
「……ねぇ、あれって店長じゃない?」
と私のことを気にしながら茜さんが言った。
その言葉に振り返って窓の外に目をやる。
道を挟んで向かいの店から出て来た人が見えた。それは、確かに相澤だった。
同時に、茜さんが言いにくそうにしていた訳が分かった。相澤は一人じゃなかった。女の人と一緒にいたからだった。