アイザワさんとアイザワさん
「ちょっと待って、店を出た時……?」
私の言葉を聞いて、相澤はちょっと考えこんだ後で意外な一言を言った。
「俺、たぶん……お前のことを考えてた。」
……えっ?
「驚くかな?とか喜んでくれるかな、とか。これをあげたら、初花はどんな顔をしてくれるのかなって、そう思ってたんだよ……」
そう言いながら、相澤の頬はだんだんと赤くなっていって……
私はその言葉を聞いた瞬間、一気に身体中の力が抜けていくのを感じた。
あの顔は……私の事を想って……いた?
じゃあ、今までの嫉妬って……
私は……私自身にずっと嫉妬してたってことに……なるよね……
……バカみたいだ、私。
恥ずかしすぎる事実に、このまま消えてしまいたくなるほど落ち込んだ。そんな私に相澤は思い当たったようにとどめの一言を言った。
「お前、だから俺と裕美とのことをそんなに勘違いして……逃げ出すくらい不安になってたのか?」
恥ずかしさにどんどん顔が赤くなっていく。
「だって……二人で並んで歩いてるとほんとに恋人同士みたいな雰囲気だったから……裕美さん……綺麗だし、スタイルも良かったし……私なんて背が高いだけで、美人でもないし……胸もないし……」
うつ向きながら言い訳を口にしていくと、なんだかいたたまれない気持ちになってきた。
恥ずかしくて相澤の顔をまともに見ることができなかった。