アイザワさんとアイザワさん
「初花。……前に『俺の心を揺らすのはお前だけだ』って話しただろ?身体だってそうなんだよ。」
「お前がいるのに、もう他の女になんて反応する訳ないだろ。俺が求めるのは、初花だけだ。」
相澤はそう言うと私の胸から手を離して、今度は私の身体を抱きあげた。そのまま優しくベッドへと下ろされる。
「だからさ……もっと求めてもいいよな?」
「……好きにしてください。」
相澤の言葉に私はそう答えて手を伸ばすと、そっと彼の眼鏡を外した。
眼鏡をサイドボードに置き、私は彼に向かって微笑んだ。まるで『どうぞ』と合図をするかのように。
これが、私たちの『はじまり』の合図。
相澤はその合図に『了解しました』と応えるように、そっと私の口唇に触れるキスをして微笑みを返してくれた。
私しか知らない……甘く……優しい微笑みを。
そのまま目の前の愛しい人は、私の身体中に口づけを落とし、私の身体が蕩けていくのを確認するように優しく触れながら、次第にその甘い行為へと没頭していった。
甘い感情に呑み込まれながら、『求められる』嬉しさに身体中が歓喜していった。
甘く甘く溶かされた身体の中には、もう黒い感情なんてどこにも残っていなかった。
……私だってこんな風に『求めてほしい』なんて、あなただけにしか思わない。
だって、二人の気持ちは重なっているって……そう確かめ合えたから、今まで心の中を埋めつくすほど気になっていたはずの黒い嫉妬だって、いつの間にか消えてしまった。
そして身体が重なれば……あとは揺さぶられるまま何も考えられなくなって、心も身体も深い深い快楽の中に溶けて溺れていくだけだ。