アイザワさんとアイザワさん

デイサービスでも知り合いだった二人は、今日ここで偶然再会し、意気投合してコーヒーブレイクの真っ最中なのだ。


私の言葉に「初花ちゃん、怖いなー」とか、「おいおい、やっとまた来られるようになったのに出禁になっちまうのか?」なんて言いながらも、二人ともニヤニヤしながら会話を続けている。


本当に追い出してやろうか……


私はため息を吐きながら言った。


「瞬先生、何しに来たんですか?……店長、今日は夜勤明けでもう帰ったからいませんよ。」


「何言ってんの。樹が休みだから来てるんだって。樹がいたら初花ちゃんのこと、口説けないでしょ。」


「はぁ……そうですか……」


冗談も度が過ぎると呆れてしまうものらしい。


「あ、全然本気にしてないね。」


あはは、と笑いながら瞬先生は私の前にはい、と水色の封筒を差し出した。


「これが今日の目的。裕美からだよ。」


「謝りたいってここまで押し掛けてくる勢いだったから、俺が止めたの。じゃあ手紙書く!って言うからさぁ。でも書いた手紙を誰が届けるんだよ?って話でしょ。だから届けに来たの。」


確かに裕美さんを止めてくれたのはありがたかったけど、瞬先生が来るのも、お店で余計な話をするのもちょっと……いや、かなり迷惑なんですけど。


……普通に樹さんに持たせてくれれば良かったんじゃないですか?

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