アイザワさんとアイザワさん

「話そうよ。俺がちゃんと自分の気持ちを素直に伝えなかったからずっと初花は不安だっただろ?付き合うようになってからも、何かちょっとでも気になることがあるとすぐ不安になっちゃうんだろうな。」

「聞くよ。気になることも、不安な事も何でも。初花にそばにいてもらえるなら。俺はもう、初花を一生手放す気はないんだから。」


その言葉に涙が出そうなほど嬉しい気持ちになった。

「私……こんなに自分がちょっとしたことで不安になる人間だって思ってませんでした。」


自分は明るくて元気で細かい事を気にしない人だと思い込んでいたから。


ほんとの自分を理解してくれる人がいる……そして不安な気持ちも我が儘も全部口にしてもいいと言ってもらえた。それがこんなにも嬉しいことだなんて知らなかった。


「じゃあ……早速我が儘を言ってもいいですか?」

「どうぞ。」

「今日は……帰らないで。このまま一緒にいてください。」


そう言って自分から彼の首に手をかけてそっと口唇を重ねると、重ねた口唇の間からふっ、と笑い声が漏れた。


「……どうして笑うんですか。」


「ふっ……ははっ……いや、可愛い『我が儘』だな、と思ってさ。」
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