アイザワさんとアイザワさん

「樹さん……ここじゃヤダ。お願い、ベッドで……して。」


精一杯の誘い。


恥ずかしさに頬が熱くなる。たぶん首まで真っ赤に染まっているはずだ。


そんな私を見て『よくできました』と言うように、樹さんはにっこりと微笑んだ。


私は、いつもこの笑顔からは逃げられない。


あなたに全てを捕らえられると、そこに待っているのは甘やかな喜びだと分かっているから。



だから、私はこの甘い笑顔に自分から喜んで飛び込んでいくんだ。



それは『家族』よりも深い繋がりを求めているから……かもしれない。
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