アイザワさんとアイザワさん
確かに、このままだといつまで経っても相談できそうにない。カウンターに向かって陽介さんにありがとうございます……と思いながら頭を下げると、いいよ、といった感じでにこりと笑って片手を挙げてくれた。
そして、笑ったままその挙げた手をカウンターに戻って来た木村くんの頭に向かってベシッと降り下ろした。
「……すんません。」
頭を押さえながら謝る木村くん。
あーあ……また泣きそうな顔になってる……。
「ほら、初ちゃん。樹ちゃんに話しな。」
源ちゃんに促されてはっと我に返る。
そうだ。相談するためにわざわざ来てもらったんだから。
私の『家族』のことは少しだけおばあちゃんのお墓に一緒に行った時に話をしていた。
私の記憶が曖昧になったのは、おばあちゃんが亡くなった事だけが原因だったと思っていた樹さんは、その後で私が母親から家を追い出されたと聞いてとても驚いていた。
その時は、おばあちゃんが亡くなったことを自分のせいだと後悔していた樹さんにそれ以上話を続けることができなかったけど……
今が伝えるタイミングなんだな、と思った。
それと同時に、とうとう自分の『家族』と向き合う時が来たんだな……と感じた。