アイザワさんとアイザワさん

私は樹さんに『家族』とのことを全て話して、家に戻って来なさいと言われたことも話した。


二人に話をしたことで、留守電を聞いた時にあんなに動揺して落ち着きを無くしていた心は、だいぶ平静を取り戻していた。


「それで……初花はどうするんだ?」


私の心はもう決まっていた。
「……家に行ってみようと思います。」


だって辛い事や後悔や過去の傷に向き合うことを決めたのだから、『家族』にだって逃げずに向き合わないといけない。


「じゃあ、一緒に行くよ。いいだろ?」
当然のように言ってくれた樹さんの言葉に、私は嬉しい気持ちでいっぱいになった。


一緒に行ってくれませんか?
そうお願いしようと思っていたから。


以前、馨さんに会った時に逃げずにちゃんと向き合って話ができたのも、樹さんが私の隣にいてくれたからだった。


大丈夫だと思っていたはずなのに……混乱して倒れそうになってしまった私をしっかりと支えてくれた。


あの時は助けられたことに戸惑いを感じてしまったけど、今は隣にいて欲しいと思っている。



私の存在を認めてくれたあなただから、心を許したあなただから……一緒にいてもらいたい。

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