アイザワさんとアイザワさん
「そうだな。樹ちゃんにも一緒にいてもらうといいよ。」
源ちゃんがにっこりと笑いながら言った。
「源ちゃんは一緒に行ってくれないの?」
「もちろん、行くさ。……そろそろ佐知子ちゃんにがつんと言ってやらないとなぁ。」
源ちゃんは笑顔で心強い言葉をかけてくれた。
大切で、大好きな人達が一緒にいてくれる。
私はなんて幸せ者なんだろう。
もし、ほんとうの『家族』と離れることになったとしても、私にはそれだけで十分だった。
……私は『家族』を取り戻したいのか。
そして『家族』は私をどうしたいのか。
それは向き合ってみないと分からないことだ。
でも、今の私には居場所がある。
傷ついても戻る場所があって、傷ついた心も身体も包むように癒してくれて、傷痕が残ったとしても構わずに愛してくれる人がいる。
そう思うだけで幸せな気持ちになって、向き合う勇気が身体の底から沸き上がってくるみたいだ。
私は……もう過去から逃げるだけの弱い自分ではいたくないから。