アイザワさんとアイザワさん
「水元……院長と母とは離婚してまして、私は母のほうに引き取られました。『相澤』は母方の姓です。医院のほうではそういった事情もありましたので、名字のほうはあえて名乗っていませんでした。」
「母方の叔父がコンビニを経営していまして、私は水元医院を辞めて、今は叔父の元で経営の勉強をしています。一年前に初花さんの勤めている店をうちの叔父が経営することになって……それが縁で初花さんと再会しました。」
「コンビニの経営者が変わった事は生方さんから伺っていました。……新しいオーナーさんが相澤さんのおじさんだったんですね。」
樹さんの話に納得したようにお父さんが言葉を返している。
縁って不思議なもんだよな……と源ちゃんが続けて呟いたのを聞いて……
やっと私はお父さんと源ちゃんと生方のお父さんが繋がっていたのだ、ということに気がついた。
失礼ですけど……と前置きして樹さんは母にこう話しかけた。
「相沢さんは……もう良くなられたのですか?」
その質問には父が答えた。
「もう……定期的に通院しなくてもよくなりました。薬もだいぶ減らすことができて……。状態が安定して一年が経ちます。私もこちらに帰って来ることができましたし、もう初花を呼んでも大丈夫だと、そう思ったんです。」
「初花のこと、支えて下さって感謝しています。私達は娘を5年間も省みることなく……初花には辛い思いをさせました。」