アイザワさんとアイザワさん
「ありがとうございます」
3月。①『約束』しましょう。
家を出て、源ちゃんと家の前で別れた私達はそのまま、朝に待ち合わせたコンビニへと向かった。
私の目は泣きはらして真っ赤になっていて恥ずかしかったけど、泣きすぎて失った水分を早く取り戻したかったのだ。
ミネラルウォーターを持ってレジに行くと、朝に源ちゃんが声をかけていたおじさんの店員さんがまだレジにいて、私の顔を見てちょっと固まっていた。化粧も取れているだろうし、泣いちゃったってバレバレなんだろうな……
樹さんに代わりに買ってもらえば良かったなぁなんて後悔しながらお金を払っていると、店員さんが話かけてきた。
「おねーちゃん、どうした?彼氏とケンカでもしたか?」
あはは…と軽く笑って誤魔化すと、「泣かされたら、朝のじいちゃんに言うんだぞ。源次さんだったら、悪いヤツは全部追っ払ってくれるからね。」
気を遣ってもらったようだけど、話を聞いているうちに、どうしようもなく恥ずかしくなってきて、私はそそくさとコンビニを後にした。
「初花…どうした?目だけじゃなくて顔も赤くなってるけど…」
樹さんが不思議そうに聞いてくる。
ふと振り返ると、店内からさっきのおじさんが様子をうかがっていた。さすが、源ちゃんと気が合うだけあって…ちょっとおせっかいな人なんだろう。