アイザワさんとアイザワさん
私の言葉に全員えっ?と言った表情で驚く。
新しく入ったパートさんに、茜さん。おまけにカウンターの横でコーヒーを飲みつつ、ニヤニヤと笑いながら私達の会話を聞いていた源ちゃんまで驚いていた。
そして…もちろん、私に『こいつ』呼ばわりされた樹さんも。
「お、お前、今『こいつ』って言いやがったな…」
それがどうした。
そう思いながら、心の中でベーと舌を出す。
「私語は厳禁でしょ?さ、仕事しますよ。」
ちょうどタイミング良くレジにお客様が来たのをいいことに、私はパートさんに声をかけて、レジ接客の研修の続きに入った。
***
「あなた達、またケンカでもしたの?面倒だからやめてちょうだいよ。」
サンドイッチをがぶりと頬張りながら、茜さんがはぁーと盛大なため息をつく。
朝日勤終わりの私達は『Milky Way』へと足を運んでいた。
夜勤明けで帰った樹さんからメールが来ていたけど、そんなもの、完全に無視だ。
「…ケンカじゃないです。…ただ、ちょっと心がもやもやとしただけですよ。」
そんなんじゃ分かんないわよ。茜さんにそう言われて、私はエピを頬張る口を止めて、昨日の出来事を話し始めた。