アイザワさんとアイザワさん

昨日、私と樹さんは生方家を訪れていた。

生方家では、茂之お父さんと鞠枝さん、玲くんに……なぜか仙道さんまで待っててくれていた。


全ての事実を知った私達は、今まで見守っていてくれた茂之お父さんにどうしても直接お礼が言いたかったのだ。


「初花ちゃんがしあわせそうで、ほんとうに良かった。『私達の娘』を宜しくお願いしますね。」


茂之お父さんは玲子お母さんの写真を見ながらそう言うと、本当の父親のように樹さんに頭を下げてくれた。


その後で、お父さんは樹さんに向かってこんな事を口にした。


「そう言えば…初花ちゃんがお店を休んだら、シフトの補助をする人は系列の店から誰か来てもらうんですか?」


私と樹さんは、お互いに顔を見合わせた。
休むって、どういう事だろう?


「茂之お父さん。私、休む予定なんてないんですけど…どういう事ですか?」


「え?…急に結婚するなんて言い出したから、てっきりウチとおんなじことになっちゃったんじゃないかと思ったんだけど、違ったの?!」


私の質問にそう答えたのは鞠枝さんだった。


えーと、つまり……


私達も『うっかり』『やらかした』と思われていた、って事ですか?





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