アイザワさんとアイザワさん
「何ですか?」
「何日かさ、凄く具合悪そうにしてただろ?心配事があったから胃が痛かったってのは分かってたんだけど…鞠枝さんじゃないけど、俺も、もしかして……初花が妊娠したんじゃないのかなって思ってたから……」
「はぁ?誰が?」
思いもしなかった一言に、驚いた言葉はそのまま口からこぼれ出た。
「いや、だってよく考えたらクリスマスイブだって次の日だって……俺、何にも考えないまま……しただろ?」
「もしそうだったら、俺、最低だな…と思って…」
でも、違ったんだよな。そう安心したように言ったその言葉と表情が何だか心に引っ掛かった。
次第にそれはもやもやとした気持ちに変わっていって……楽しみにしていたハンバーグも、なんだかいつもより美味しく感じられなかったのだ。
***
「……分かった。『子どもはいらない』って言われたみたいで面白くなかったんでしょ?」
サンドイッチを食べ終え、ロールケーキに手を伸ばしながら茜さんが核心をつく一言を言った。
「はい。私も確かに今子どもが出来たら正直嬉しいって気持ちよりも困ったな、って最初に感じると思います。でも、あんなあからさまにホッとされると……ちょっと傷ついちゃいますよ。」