アイザワさんとアイザワさん
私の思う『家族』と彼の望んでいる『家族』の形は違うのかもしれない……。
そう思ったら、もやもやとした気持ちが心に沸き上がってきて、その安心したような表情も態度も面白くなくて、時間が経つほどにもやもやが心の中に広がっていったのだ。
樹さんは私がこんなに不機嫌になってるなんて思ってもみないだろうし、さっきの事だって突然『こいつ』なんて言われて訳が分かんなかっただろうな、と思う。
はぁ、と茜さんがため息をついた。
「初花ちゃん。またこの前とおんなじことになってるよ。」
「この前だって一人で散々考えこんで、落ち込んで、具合だって悪くなって……なのに直接店長と話したら、あっさり解決したでしょう?」
「思ってることは何でも話していいよ、って言ってもらったんでしょ?優しいじゃない。今の話だって全部伝えなさいよ。」
今回は、私は店長の味方だからね!そう言いながら頬っぺたをぶにっと摘ままれた。
「子どもみたいな扱いですね……」とちょっとふて腐れた口調で返してみる。
「ろくに話もしてないのに、思った通りにならなくて拗ねてるなんて、子どもと一緒よ。ちゃんと話し合いなさい。大人なんだから。」
逆にびしっと注意されてしまった。
……おかあさん、ちょっと私情入ってませんか?
かなり怖いんですけど。