アイザワさんとアイザワさん

「何だよ?…ってか、ここで止めるか?普通。」

軽く口唇を合わせたままで樹さんが話かける。
間近で見ると、その切れ長な目もとがめちゃくちゃ色っぽい……って、そうじゃなくて!


「私…もう一つだけ気になっていたことがあるんですけど…」

樹さんは何?といった感じで目を合わせてきた。


「あの…樹さん、私が妊娠してるかもしれないって…いつから思ってました?」


キスを止められても、まだ私の身体を撫で回していた手が、その言葉を聞いてピタリと止まった。

「…樹さん?」

さっきまで視線が合わさっていたのに、今は若干泳いでいた。


核心…突いた?そう思いながらも話を続けていく。自分からこんな事まで話すのは相当恥ずかしいけど、疑問は全部聞こうと思ったから、仕方ない。


「昨日、樹さんはクリスマスイブの日に何も考えないで…あの…『した』って言ってましたよね?」


顔が赤く染まってきていることは分かっていたけど、構わずに話を進める。


「心配事があって具合が悪くなってる様子を見てひょっとして…って思ったんだったら…最初にそう思ったのって私が裕美さんとばったり会った2月の時じゃないんですか?」
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